食品や化粧品、パーソナルケア製品などのラベルに書かれている「香料」は、天然香料と合成香料に分類されます。
この天然香料と合成香料の違いとは何なのか?知っておくと製品選びがスムーズになるポイントをくわしく解説します。
天然香料ってなに?
植物性香料
天然香料とは自然にある物質からとり出した香りです。大きく植物性と動物性の2種に分けられます。
植物性の天然香料は、植物の葉・茎・花・つぼみ・果実・種子・根・樹脂・枝・樹皮など様々な部位から抽出され、部位によって香りが異なるのが特徴です。
動物性香料
動物性の天然香料は、主に次の表にある4種類を指します。
香料名 | 由来 |
①ムスク(麝香、じゃこう) | ジャコウジカ |
②シベット(霊猫香、れいびょうこう) | ジャコウネコ |
③カストリウム(海狸香、かいりこう) | ビーバー |
④アンバーグリス(龍涎香、りゅうぜんこう) | マッコウクジラ |
天然香料の作り方
植物や動物から天然香料をとり出すには、抽出、蒸留、圧搾などの方法を用います。
興味深いことに、同じ部位でもとり出し方を変えると、香りも変わります。また、使用する部位によって適切なとり出し方があり、抽出方法を知ることで、香りへの理解がより深まりますよ。
抽出
抽出とは溶媒となる液体を用いて、固体や液体から特定の物質をとりだすことです。
抽出のわかりやすい例はお茶です。緑茶の葉(固体)にお湯を注ぐことで、緑茶の色や香り、栄養成分などがお湯に溶け出し、美しい水食のおいしいお茶が抽出されます。
天然香料を抽出でとり出す場合、植物や動物の特定の物質を香りが移りやすい液体につけこみます。
抽出に使用される液体は、水やお湯のほか、油やアルコールなどです。使用する液体によって抽出される成分も変わります。
水蒸気蒸留
天然香料をとり出す方法として、よく知られている方法が水蒸気蒸留です。精油やエッセンシャルオイルと呼ばれる香料の大部分は、この水蒸気蒸留で作られます。
香りの元となる物質を釜につめて加熱すると、香りの成分が蒸気とともに発生します。その蒸気を冷却することによって液体にもどすと、香りの成分を含んだ油性と水性の物質ができます。
圧搾
圧搾(あっさく)とは圧力をかけて香りの成分を搾りだす方法です。おもにオレンジやユズなどの柑橘(かんきつ)系の果皮から天然香料をとり出す場合にはこの圧搾法が使われます。
主に香りの元となる物質に余分な熱をかけたくない場合に、この方法がとられます。
合成香料とは
合成香料とは化学反応を利用して香りをとり出してつくられた香料です。合成香料の主な原料は、石油化学、石炭化学、パルプなどから大量に生産される工業化合物です。
合成香料には約3000もの種類があるとされますが、主に使用されている香料は約500種ほどです。
合成香料は食品用やそれ以外の用途でも、厳しい品質管理が要求されます。そのため、化学反応を利用する合成香料の製造には、医薬品レベルの基準が採用されます。
安定した品質の香料が大量につくれ、しかも安価であることが合成香料のメリットです。
調合香料とは
調合香料とは、天然や合成に関わらず、複数の香料を調合したものです。
一般的に香りは単体より、複数の香料を組み合わせて使うケースがほとんどのため、香料の多くは調合香料となります。
調合香料と合成香料を同じものだと誤解しやすいので注意が必要です。
知っておきたい!天然香料と合成香料の大きな違い
価格
天然香料と合成香料の大きな違いは価格です。大量生産できる合成香料は、自然の動植物を原料とする天然香料と比較すると大幅に安価です。
天然香料は原料自体が希少、含まれる香り成分の量が少ない、栽培や抽出に手間ひまがかかるなど、どうしても高価になってしまいます。
気候などによる収穫量の増減により価格が変動しやすいのも天然香料です。
品質
天然香料は原料の育つ環境による差が大きく、品質や香りが育った土地や気候に大きく左右されます。つまり、生産の度に香りや成分が異なる天然香料は、安定した品質を保つのは非常に困難です。
一方、合成香料は安定した品質のものが大量に生産でき、常に同じ品質のものが簡単に手に入ります。香りの強さ、持続性を簡単に調節できるのも合成香料の特徴です。
ヒーリング効果
天然香料には合成香料にはない、体や心への作用が高く、ヒーリング効果が期待できます。単なる香りだけではなく、癒しの効果を香りに求めるならば、やはり天然香料です。
合成香料には香りのイヤな香りをかくす、他人への印象を与えるなどの効果があるものの、ヒーリング的な要素は求められません。
おすすめの天然香料
ローズ
美容や健康にうれしい効能をもつといわれるダマスクローズを贅沢に使用した天然香料です。
国産・無農薬のオーガニックダマスクローズの香りの天然香料で、心も体も癒されてください。
金木犀
大人気の金木犀の香りを天然香料に詰め込みました。
甘く、どこか懐かしさを感じる金木犀の香りを楽しめるおすすめの天然香料です。
ホーリーフ
ホーリーフの天然香料は美しく深い緑です。この緑色はクロロフィル(葉緑素)によるものです。
天然香料の特質上、この美しい緑色は日々変化し、徐々に茶色っぽく変化します。色の変化を含めて天然香料のすばらしさを感じてください。
ロータス
ロータス 蓮の花 香りのメッセージボトル 1ml:4,180円(税込)
無農薬・無肥料で育てられた国内産ロータス(蓮)から作った希少な天然香料です。
蓮の花がもっとも美しいときに、薫り高い雄しべを丁寧にとり出して天然香料を抽出します。神々しいまでのほのかな天然の香りがお楽しめます。
関連記事:ロータスの天然香料の効果:「非加熱ロータス☆今だけの、一つしかない香り。大自然の息吹が吹き込まれたフレグランスです♪」
龍涎香
アンバーグリスチンクチャー・ナチュラルブラウン 10ml : 10,780円(税込)
アンバーグリスチンクチャー・エンシェントホワイト 10ml : 27,500円(税込)
動物性天然香料、龍涎香は甘く深く魅力的に香ります。マッコウクジラの結石からとり出す希少な天然香料は、古くから媚薬としても用いられる香りです。
人とのつながりを大切にしたいときに使ってみることをおすすめします。
天然香料と合成香料を上手に使いわけよう
低価格で強い香りの合成香料に対し、天然香料はほのかに香り、私たちの心や体にやさしく働きかけてくれる命のある香りです。
天然香料と合成香料の違いを知って、香りを効果的に使いこなしてくださいね。