アンバーグリスジャパンの山田海人先生からの情報を転載します。
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おめでとうございます。 山田 海人
深海へ潜るマッコウクジラ
マッコウクジラは欧米の捕鯨時代(18世紀~19世紀)に特別なターゲットとして狙われていました。 その理由はマッコウクジラだけが有する鯨
油(脳油)で微細な潤滑油の貴重な原料となっていたからです。
脳油はマッコウクジラの頭のほとんどを占めています。 なぜこんなにも多くの鯨油を持っているのでしょうか? 脳油はマッコウクジラの生態を維持するためにも大切な役割(浮力調整)を果たしているようです。
脳油はワックス状の油で固体と液体の状態で存在します。脳油の融点は25℃~35℃で、頭部の中を流れる血管の流量を制御することで脳油は温度調節され固体、液体と自由にコントロールできるのです。
マッコウクジラは潜降する時、最初はフィンキックしますが、しだいに海水の低水温を利用し、脳油を固体化させると水中重量が増して滑空状態で潜降できるようになります。 これはどうも脳油が周囲の水温が下がると徐々に固体の状態になり、密度の高い状態で収縮されて、マッコウクジラの身体はマイナス浮力になり、この反応で潜降しているようです。
海底では頭部の血液の流量を調節して摂餌行動に適した水中重量(マイナス浮力)に自由にコントロールできるようです。 浮上する際には、さらに固体を液体に替えて密度を低くして浮力を得ているようです。
こうしてマッコウクジラは毎分150mほどのスピードで潜降し、水深1000m~3000mまで潜降してイカ、タコ、魚を食べています。
餌を探すには歯クジラだけができる音波のエコロケーションを使います。 たとえ真っ暗闇でもエコロケーションで障害物の中のイカ、タコを見付けて、攻撃し、場合によりダイオウイカの目と目の間の神経が集中している箇所に圧縮音を炸裂させて、ダイオウイカをしびれさせて弱ったところを顎で押さえつけ小さな口で飲み込んでいます。 それでも壮絶なバトルですから大きな吸盤の跡がマッコウクジラの肌に生涯残っています。 イカやタコはカラストンビと呼ばれるクチバシを持っていますので胃袋の中で消化されずに残っています。 これまで1頭のマッコウクジラの胃袋から数千匹分のクチバシの破片が見つかっています。
胃クジラの胃袋は四つあって、四つ目の胃袋に溜まったクチバシは、口から嘔吐されていますが、300mほどの長い腸に入ってしまったクチバシは、鋭い突起物を持っているので、腸を刺激します。 すると腸の内側からコレステロール誘導体が出て、尖ったクチバシにまとわりつきます。ちょうど真珠のように外側へかぶさって塊になったものがアンバーグリスと呼ばれる「竜涎香・りゅうぜんこう」です。 竜涎香は「クジラの真珠」とも呼ばれ、 1000頭に1頭ほどが持っています。 竜涎香は高級香料になるものでマッコウクジラから排泄された直後は黒く、臭い匂いがします。 油の塊なので海水に浮いて漂い、太陽の紫外線、空気に触れて酸化しながら5年~10年と品質が向上していきます。 竜涎香はマッコウクジラの排泄物なので海辺に流れ着き、ビーチコーマーだけが拾える「浮かぶ金塊」で1gが30ドルで取引されています。 昔、琉球王朝には竜涎香を拾う文化があり、「琉球は、高品質の竜涎香を産出する国」として有名でした。 竜涎香は、シャネル5にも使われる高級な香りです。また香水の香りを長持ちさせる効果がある他、高級スパイスとして王室での料理にも使われていました。
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